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[開発経緯]
平成16年における火災出火件数は60,387件でした、住宅火災による死者は建物火災の約9割。65歳以上の高齢者が過半数を占めています。火災が発生した場合に最も被害が少なく、確実に消火するポイントは「炎の勢いが小さい内に消火する」という事です。これを「初期消火」といいます。しかし「パニック状態になってしまい操作を間違えた」「重すぎて火元まで運べない」「炎の熱で近づけず、満足な初期消火ができない」など、これまでの噴射型消火器は操作が複雑で、重量も非常に重く、特に高齢者や子供・身障者等「災害弱者」には扱いづらい物でした。そのため以下の条件をみたすように「投げ消すSAT(サット)119」は誕生しました。
・ 「災害弱者」にも扱える大きさ、重さで、複雑な操作や訓練が不要である事
・ 消火能力に優れている事(避難路の確保に効果的な性能を有している事)
・ 人体・環境にも無害である事、また使用後の後始末に不都合がない事
・ 設置した時、使用者に家具・調度との違和感を感じさせない外観である事 |
[仕様表] |
商品名 |
投げ消すサット119(TS-119)特定消火機器 |
1. 対応火災 |
普通火災(木材・紙等) |
2. 有効消火条件 |
屋内の初期火災 |
3. 消火方法 |
投てき消火/水割り消火 |
4. 消火剤主成分 |
リン酸アンモニウム・塩化ナトリウム・重炭酸アンモニウム
尿素・硫酸アンモニウム・界面活性剤 |
5. 消火剤PH |
8.1~8.9(20℃) |
6. 消火剤比重 |
1.14~1.18(20℃) |
7. 薬剤容量 |
510cc(薬剤アンプル1本) |
8. アンプル材質 |
硬質塩化ビニール |
9. 有効期限 |
5年 |
10. 保存温度範囲 |
-10℃~+40℃ |
11. 外形寸法 |
アンプル 174(H)×φ64(W)mm
ホルダーカバー 205(H)×72(W)×74.5(D)mm |
12. 質量 |
薬剤入アンプル:630g |
13. 各種認定 |
日本消防検定協会性能鑑定 鑑特第206号、PSB性能証明取得(2003.3) |
14. 希望小売価格 |
オープン価格 |
15. 外観 |
設置状態 |
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薬剤アンプル |
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[使用方法] |
「投げ消すサット119」は投げる消火用具です。本製品は、火災発生の時に保護カバーから消火剤入り樹脂アンプルを取り出し、火元へ向かって投げつけて使用します。アンプルが破壊し消火剤が飛散し化学変化により消火ガスが発生します。ガスの効力で火災を消火する化学消火用具です。 |
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水割り消火
投げ消すサット119はアンプルを
直接投げる消火方法以外にも
水に混ぜて使用することも可能です。
バケツ1杯の水にアンプルを
割り混合し、柄杓等で火元に
ふりかけます。
隣接延焼防止や、より広い範囲の
消火活動に有効です |
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[消火のしくみ] |
1. 火災とは、燃焼とは? |
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酸化反応=燃焼
物が燃えるという事は、可燃物と酸素が化合
(2種類以上の物質が科学的に結合すること)
する化学反応です。これを「酸化反応」といい
ます。物が燃えたりする事や、金属が錆びる
事も酸化反応です。 |
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可燃性物質と酸素が反応する際、反応熱が発生し、その熱によって可燃性物質が温められ更に酸化しやすい状態になる「連鎖反応」を引き起こし、燃焼という現象になります。
この燃焼に必要な要素をどれか一つでも取り去れば燃焼をストップさせる事が可能です。
具体的には
1. 酸素を遮断すること 2. 化学反応を起こさせないこと
3. 温度を冷却すること 4. 可燃物を取り去ること
の4つが考えられます。
さて、4、の可燃物を取り除くには、きわめて早い初期段階や山火事のように類焼を防
ぐなどの時には威力を発揮しますが、家庭などでの火災については、やけどなどの負傷
につながる危険性が大きく、何時でもできるとはかぎりません。
酸素を遮断して、燃焼という化学反応を起こさせないで、温度の上昇を防ぐための消
火用具として商品名「投げ消すSAT119」は誕生しました。 |
2. 消火剤のはたらき |
火元近くに投げられたアンプルから消火液が飛び散ります。その際の水分蒸発作用によって燃焼物を冷やします。(冷却効果)また、この消火剤に含まれるリン酸アンモニウムと主要消火剤によって発生するアンモニアガスが燃焼連鎖反応の負触媒となります。(連鎖反応を抑制)同時に、この消火剤に含まれた重炭酸アンモニウムと炎の熱によって発生した炭酸ガスが燃焼面への酸素を遮断し燃焼を抑えます。(酸素を遮断)そのほかに燃焼物の発火点を上げて燃えにくくする成分(硫酸アンモニウム)も配合されており、優れた再燃防止効果を発揮します。
このように投げ消すSAT119は(可燃物を取り去る)以外のすべての項目に対応しており、高い消火能力を発揮します。 |
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[安全性について] |
1. 薬剤の安全性(環境に対する影響)
消火剤成分は弱アルカリ性で主な原料は食品添加物と国家検定品として認定された安全な界面活性剤で構成されていますので、皮膚に直接触れても問題はありません。破棄する場合、そのまま下水に流す事が可能です。 |
生物科学的酸素要求量(BOD)---- 93mg/L
化学的酸素要求量(COD)---- 730mg/L |
試料を超純水で6%に希釈したものを試験溶液とした。
財団法人 化学物質評価研究機構による試験結果
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2. 使用時の安全性
投げ消すSAT119は炭酸ガスとアンモニアガスを発生させて消火します。ガスは初期消火には十分で人体には害のない程度の量しか発生しません。ガスは若干アンモニア臭がしますが、工場などで使用されている労働安全基準値を下回る数値でしか発生しません。よって人体に影響はありません。 |
発生したCO2(炭酸ガス)------- 4000ppm
労働安全基準は5000ppm以下
発生したNH3(アンモニアガス)---- 20ppm
労働安全基準は25ppm以下 |
消火後30秒での測定、8m3小屋内、北川式検知管使用 |
[日本消防検定協会が認めた性能] |
2004年4月、投げ消すサット119は投てき用
特定消火機器として「日本消防検定協会の
性能鑑定」に合格しました |
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《 投げ消すサット119の取得鑑定の流れ 》
1. 新技術製品の性能鑑定(平成15年12月2日取得)
新技術等により消防用機械器具等として優れた機能等を有するがこれについての技術上の
規格や技術上の基準等がないものについて、依頼に応じて、一定以上の性能をもつもので
あるかどうかの評価をしています。この評価は学識経験者等の委員で構成する評価委員会で
行います。
この結果「適合」とされた消防機器等には、その旨の表示を行います。
2. 型式鑑定(平成16年3月29日取得)
その構造、材質、性能等についての試験を行い、技術上の基準に
適合するものに型式を付与します。
3. 個別鑑定(製品出荷時に毎回実施)
個々の消防用機械器具等について、付与された型式とその構造、材質、
性能等が同一であるかどうかを検査するものです。個別鑑定に合格した
製品には「合格」の表示を行います。
個別鑑定の合格または適合の表示
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[Q & A] |
1.どんな火災にも効果があるの?
「SAT119」のアンプル1本で屋内の初期消火※に有効です。また、大きくなった火災にも2本・3本と数を重ねて投入する事によって効果は増大します。
初期消火※を超える火勢の火災においては完全に鎮火する事は困難ですが、火災を完全に鎮火できない場合でも、投げつけた周辺の火勢は一時的に弱まりますので、逃げ道に向けて投げ込み、火が収まったときに逃げるという使用法も有効です。
※隣の部屋や天井に炎が燃え広がる前の状態までに行う消火活動。
また、以下の状況等において「投げ消すSAT119」は使用しないで下さい。
・電気ショートなどの火花が原因の火災(C火災)において、まだ電気が流れている可能性のある火災。
この場合消火剤が電気を通さないことが必要で、「投げ消すSAT119」は対応できません。
・ガスタンクや鉱物油の入ったドラム缶のような物に火がついた火災(B火災)。
ガスが発生することによる消火システムですので、ガスが吹き飛ばされてしまう屋外の火災や、風通しの良い部屋の火災には効果が上がらない場合があります。その場合水割り消火として火元に直接掛けて下さい。
2.消火剤が皮膚についても大丈夫?
皮膚に直接触れてもほとんど問題はありません。(切り傷、擦り傷等のある場合は避けたほうがいいと考えられます。)また、衣服などの繊維についた場合若干の着色または色落ちが予想されます。少し残るアンモニア臭は時間がたてば気にならなくなります。
消火剤の着色原料は、食品添加物に指定されている成分ですから安心してください。
また、消火剤の成分は化学肥料と同等の成分で構成されています。
「投げ消すSAT119」を誤って割ってしまった場合や破棄する場合、消火剤は有毒ではありませんので下水に流して破棄する事が可能です。
3.容器で怪我することはない?
ありません。
軟質で割れやすい特殊材質でできています。
割れた容器の破片で怪我をする
ことはまずありません。
割れた後は家庭から出るごみとして
処理ください。
ただ、大変割れやすくなっています。
30cmほどの高さから落下しただけで、
割れることもあります。十分ご注意ください。 |
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4.防火対象施設に消火器の代わりとして設置できますか?
消防法で定められた防火対象物に対して、鑑定品は消火器の代わりに設置することが認められていません。 |
[設置例] |
投げ消すSAT119を設置するのに適した場所は火災の起きやすい場所から2~3m離れた壁面です。
キッチン回りやリビングなどで火災が起きた場合にどの場所に設置すれば効果的に初期消火できるかを考えましょう。火災の火元にあまりにも近い場所はアンプルを取り出す事が困難になる可能性があります。また「2階の寝室で休んでいる時に1階のキッチンで出火した場合、避難経路を確保する為にはどこに設置するか?」など平常時に十分検討する事をお勧めします。 |
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いかなる場所の出火にも迅速に対応できる様、投げ消すSAT119を複数個装備する事を
お勧めします。
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消火実験映像をご覧下さい。 |
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「SAT119 業務用」 |
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PDFデータを印刷して下さい |
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